詩 呼吸
海岸の砂地に生えた命
光を得 水を得
瞬く間に 芽を出した
いく年もの間
この地に根ざして
踏みつけられても
朝になれば 陽の光
夜になれば 露の滴り
幾日も 日照りが続けば
体を丸めて 息を潜める
あの日
彼らが踏みつけたから
強く生きてきたのか
動物の為に 働いても
感謝される事もない
時々 そうさ
10年に 一度くらいか
誰かが 慰める
こんな小さな植物が
惨めなものだ
わたしの 生涯など
彼らの 心には
見えてはいない
心という文字は
書けるのだろうか
いやいや そうなのである
鼻から呼吸する度に
感謝のお礼をする 御仁
1分に16回にしておくれ
酸素を作っては 光合成
踏みつけられても 光合成
雨が降っても 光合成
日照りに 空を見上げ
光合成を 楽しんでは
心なき
踏みつけに
明日が 続いて ゆく